第16回イベントは、初めての試みとして「投げ銭ライブ」を7月21日(土)午後3時から行います。参加費は無料ですが、投げ銭(カンパ)をお願いしています。終了後、一品持ち寄りの飲み会です。参加予定の方はできる限りご連絡ください。

タイトル:肩こりの医療人類学 

講演者:小林昌廣(こばやしまさひろ)

梗概:日本人の多くが悩まされている「肩こり」、これに相当する表現は世界中どこを探しても見あたりません。 肩こりは日本人にだけ特有の症状なのです。 それはなぜなのでしょうか? 日本語は身体語彙が豊富に存在するために、「ことば」と「身体」が適度な距離をもって膠着状態にある、といえるでしょう。 肩こりも、「肩」ということばのもつさまざまなイメージや身体語彙としての使用例などから、「身体のなかでもっとも外部(社会)に突出した部分」として位置づけられることになります。 つまり、「肩」は身体の社会性を表象する「型」でもあるのです。 医療人類学という領域があります。 これは文化人類学の下位分野というよりも、より医療実践に近い、臨床人類学的な視野をもった研究に与えられた名前です。 もっとも重要なことは「医療を文化として見る」ということに尽きます。 文化として医療を見る、ということは、医療対象である「身体」を文化として捉えるということになり、医療人類学と哲学における身体論とは、じつはとても近い場所にあることがわかります。 今回は肩こりという固有症状を医療人類学や身体論の立場から考察し、さらに「病名」のもつイメージについても考えてみたいと思います。 

講演者略歴:1959年東京・神楽坂生まれ。大阪大学大学院医学研究科博士課程単位取得満期退学。 医療人類学・医学哲学の立場から身体を超域的に捉える身体論を展開する一方で、三歳のときから観つづけている歌舞伎を中心とした古典芸能研究もおこなっている。主な著作に「病い論の現在形」「医の知の対話」「臨床する芸術学」など、近刊に「伝統芸能ことはじめ」がある。