人文系寺子屋 野崎塾 イカロスの太陽

市民の市民による市民のための学び舎 前野町カルチャースクール 板橋区前野町6-41-17村越ビル1F 080.3856.7463 野崎

初めての投げ銭ライブ「肩こりの医療人類学」は、会員4名、一般の方5人の参加を得て盛大に執り行われました。小林昌廣先生の博識に感激しました。持ち込みの飲み会も盛り上がりました。「痛みが生きていることを実感させる」というような意見も出て、議論が深まっていったように思います。「痛すぎない痛み」のゼミを開こうという提案もありました。

次回のイベントは、9月30日(日)午後4時から貝塚和美会員の提案による討論会「ここまで変わった日本史の常識」です。

 Zeef Sternhell の三部作を読む人文ゼミ4(フランス・ファシズム論)は、9月13日(木)午後6時から始めます。以後、第2、第4木曜の午後6時からです。

ステルネル三部作とは:
1. Maurice Barrès et le nationalisme français, Bruxelles Editions Complexe ,1985,  A. Colin et Presses de la Fondation nationale des sciences politiques, 1972.
2. La droite révolutionnaire, 1885-1914. Les origines françaises du fascisme, Paris  Le Seuil, 1978, «Points-Histoire», 1981, «Folio-Histoire», 1997.
3. Ni droite ni gauche. L'idéologie fasciste en France, Paris Le Seuil, 1983, Bruxelles Editions Complexe, 1987.
この3巻の増補改訂版がまとめ,て2000年にFayardから出版されたものを指します。日本におけるまとまった研究書は深沢民司『フランスにおけるファシズムの形成』(岩波書店、1999年)があります。

生きている間に可能かどうかは分かりませんが、3巻読破を目指します。まず、ゼミでは入手しやすいEditions Complexe版をテクストにして、随時Fayard版を参照することにします。フランス語のできる方の積極的参加を期待しています。2003年の『出版ニュース』2月上旬号に載せた文章を再掲しておきます。この文章が掲載されてしばらくして私は個人的事情から研究活動から離れざるを得ず、今般野崎塾を開塾するにいたり、この研究へと立ち戻ることとなりました。

書きたいテーマ・出したい本

フランス・ファシズムと第三共和制

野崎次郎(思想史・フランス文学)

 フランスは第二次世界大戦中ファシズムと戦った「対独レジスタンスの国」として戦後長い間信じられてきた。確かに「ヴィシー政権」が存在したが、 それはドイツの傀儡政権で、例外的な「間違い」であった。ファシズムはフランスにとって「外来思想」にすぎず、フランス本来の文明(フランス革命や啓蒙思 想)とは無縁なものである。そのように信じられてきた。
 しかし一九七〇年代から八〇年代にかけて「ヴィシー政権」に関する研究が進み、「レジスタンスの国」とは違う「もう一つのフランス」ということが言い出 された。そしてそれに連動する形で「フランス・ファシズム論」の研究も進んだ。ファシズムはフランス文化と無縁ではないどころか、フランス・ヨーロッパ文化の必然的産物であるというのである。
 第三共和制の初期を揺るがしたブーランジスムにはすでに「ファシズムの萌芽」があり、その後のモーリス・バレスその他の系譜をたどればフランスはまさに ファシズムの宝庫である。「ヴィシー政権」は第三共和制末期の議会のもとで「正統性」を付与され、「国民革命」の旗印の下に「大衆」とともに「知識人」の 積極的な関わりのなかで誕生した。
 これらの二つの時期の研究をまとめてとらえるならば、その初期から末期にいたるまでフランスの第三共和制はファシズムに彩られていたことになる。しかもそれは「共和国の精神」(一七八九年のイデオロギー)との関連で誕生、発展してきたのである。ゼーフ・ステルネルの「フランス・ファシズム論」の要諦はそ の「自生論」にあるが、それにもまして重要な側面は、「左翼/右翼」という図式を疑問視しながら、ファシズムを左翼的伝統との関連において論じたことにあった。
 これは恐ろしい仮説だ。そして十分に検討に値する仮説である。それは「正義による断罪」が幅を利かせている日本の思想界においてはなおさらアクチュアルな問題である。

(『出版ニュース』2月上旬号、出版ニュース社、2003年2月1日発行)






7月の日程は以下の通りです。塾生は随時募集中です。途中入塾可能です。空いている時間にも設定可能ですので、お問い合わせください。8月は全休です。7月21日の投げ銭ライブのあと、7月22日から9月4日までクラスはありません。9月5日(水)からクラスが再開されます。

4日 (水)2:00pm~ フランス語初中級 Pauline à la plage
        3:45pm~ ラッセル The problems of Philosophy
        5:30pm~ 資本論第2巻
5日 (木)4:00pm~ ハイデガー Einführung in die Metaphysik
        6:00pm~ 池田理代子 LA ROSE DE VERSAILLES  
9日(月)2:30pm~ フランス語中上級(休み)
        4:00pm~ メルロ=ポンティ(休み)
11日(水) 2:00pm~ フランス語初中級
        3:45pm~ ラッセル
        6:00pm~ 柄谷行人『世界史の構造』
12日(木) 4:00pm~ フッサール『デカルト的省察』(休み)
       6:00pm~ フーコー『狂気の歴史』  
18日(水) 2:00pm~ フランス語初中級
        3:45pm~ ラッセル
        5:30pm~ 資本論第2巻
19日(木) 4:00pm~ ハイデガー(休み)
        6:00pm~ ベルばら
21日(土)3:00pm~ 第16回イベント(投げ銭ライブ(1)、小林昌廣)

Z. ステルネルの「フランス・ファシズム論」は、9月13日(木)午後6時からが初回になります。以後第2、第4木曜の午後6時からです。


 

第16回イベントは、初めての試みとして「投げ銭ライブ」を7月21日(土)午後3時から行います。参加費は無料ですが、投げ銭(カンパ)をお願いしています。終了後、一品持ち寄りの飲み会です。参加予定の方はできる限りご連絡ください。

タイトル:肩こりの医療人類学 

講演者:小林昌廣(こばやしまさひろ)

梗概:日本人の多くが悩まされている「肩こり」、これに相当する表現は世界中どこを探しても見あたりません。 肩こりは日本人にだけ特有の症状なのです。 それはなぜなのでしょうか? 日本語は身体語彙が豊富に存在するために、「ことば」と「身体」が適度な距離をもって膠着状態にある、といえるでしょう。 肩こりも、「肩」ということばのもつさまざまなイメージや身体語彙としての使用例などから、「身体のなかでもっとも外部(社会)に突出した部分」として位置づけられることになります。 つまり、「肩」は身体の社会性を表象する「型」でもあるのです。 医療人類学という領域があります。 これは文化人類学の下位分野というよりも、より医療実践に近い、臨床人類学的な視野をもった研究に与えられた名前です。 もっとも重要なことは「医療を文化として見る」ということに尽きます。 文化として医療を見る、ということは、医療対象である「身体」を文化として捉えるということになり、医療人類学と哲学における身体論とは、じつはとても近い場所にあることがわかります。 今回は肩こりという固有症状を医療人類学や身体論の立場から考察し、さらに「病名」のもつイメージについても考えてみたいと思います。 

講演者略歴:1959年東京・神楽坂生まれ。大阪大学大学院医学研究科博士課程単位取得満期退学。 医療人類学・医学哲学の立場から身体を超域的に捉える身体論を展開する一方で、三歳のときから観つづけている歌舞伎を中心とした古典芸能研究もおこなっている。主な著作に「病い論の現在形」「医の知の対話」「臨床する芸術学」など、近刊に「伝統芸能ことはじめ」がある。

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